三つ数えて首を刎ね
遊ぼう、遊ぼう、遊ぼう。
日高春也は歌うように繰り返しながら歩を進める。
遊ぼう遊ぼう遊ぼう。
一人きりの子供は一人きりで遊んで育つ。不自由は何も無い。
今日はちょっと面白い玩具も手に入れた。
襟首を片手で掴んで引きずると悲鳴が上がる。
キィ!
キィ!
キィ!
キィキィ、豚さん、その不愉快な声で泣き喚く。
引きずり続けた肉は皮が剥げ、赤黒い痕が道々に残った。
抵抗する肉はぐにゃぐにゃと不気味にくねって、十二歳の少年の手には時々余る。
だから時々は思い切り腹――腹にあたるであろう部分――を蹴りつけて、少年と肉は仲良くなる。
あんまり面倒をかけないでよね。キミのほうが大きいんでしょ。
邪気の無い顔で日高は笑った。
飼い主の元に獲物を運ぶ得意げな猫のような目がきらきらと強く煌く。
首を撥ねるのは、えらいねって褒められたあと。