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fatal-AM
 
 
 
 

PM 22:00 真理ヶ淵

蜂岡千里は酷くかなしい気分でその場に佇んでいる。
いったいこれは何だろう。このみにくいモノ。
せんり、と背後から低い声が呼んだ。
聞きなれた声だ。門番の声だと判る。ただし杯の。
「呼べ」

 
 

PM 20:09 番屋

「メモ」
角掛の指先からぴっと出されたメモを受け取って、宮元は怪訝な顔をした。
「なんでしょう!」
「写しですよ。憶えてる限りだから結構穴はあるけどね」
「やや、それはそれは聞き覚えのある名前ですね! なんと懐かしい!」
メモを一読して宮元は口許を引き締めた。
これはあまり面白くない事態だ。

 
 

PM 19:00 よろず厄散

未だ名の無い薬屋に日高は駆け込んで、上がりかまちから結界を乗り越え、奥の住居へと駆け込む。
主人の姿は無い。
ああ三日だから、と思って少し不機嫌になる。
もう知らないよ。
どこかに鋸があったはずだ。
でなければ、桶。

 
 

PM 18:36 閂大門

角掛は大門から出て鵺の道を戻る。
あっちの町へと。

 
 

PM 18:09 もずく茶屋

もずく茶屋を出ると来た道を戻る。
侵略ねェ侵略。さあどっちがってェ感じだなと角掛は頭の中でぶつぶつ呟く。
さてと伝言板に舞い戻ってメモを覗き込む。
助けて欲しいと誰かが言うっている、という情報。
助けて?
助けてか。

誰から。

 
 

PM 17:32 伝言板前

角掛は伝言板を覗き込んで思わずにやにや笑いを浮かべた。
ああ!こっちの連中は面白い!!
さて問題はこの面白いメモをあっちの連中に見せてやるかどうかだ。
宮元と幻燈屋、どっちの天秤が傾くかな。

 
 

PM 17:11 鵺の道

日高春也は町に向けて足取りも軽く走る。
久々に見つけた面白いことを逃すわけにはいかないのだ。

 
 

PM 15:00 真理ヶ淵

日高春也は赤く濁った淵を黒い双眸で見下ろした。
昼間の光の中、水の底に揺らめく、なにものかのかたち。

 
 

PM 13:43 伝言板前

篠田泰人は伝言板前の張り紙を眺めた。
義理ちょこ募集!の張り紙だ。
書いたのは篠田で、貼ったのも篠田だ。
これで本当にチョコが来るかどうかは判らない。
こんな呼びかけにつられてチョコが来るかもしれない来ないかもしれない、だがもしかしたらと希望はある。
誰かが引っ掛かるかもしれない。
またあとで伝言板を見てみよう。

 
 

AM 10:29 縁側

「お疲れではねえですが? 一服したらどうだっぺ。そうそう昨日、」
「昨日」
「なっちゃんが今度は御萩を作るって言ってました」
「……」
「御方、嫌がんねえでやって下せえ」
 鹿島の沈黙に、彦蔵は痘痕面で笑った。
「此間の饅頭は大変な出来だったがら、みょうしゅさんにも嫌味言われで気にしでいるらしいです」
「そうか……」
「でもあの饅頭、なっちゃんらしがったっぺ?」
「そうだな。薄くて」
「ええ、んだね」

 
 

AM 07:53 鵺の道

角掛欣示は身震いをして背後を振り返った。
暗い途。
「……」
誰もいない。こんな時間に、こんな道に、人がいるわけがないのだ。
「ご冗談を」
だが自らの感覚と予感には従うべきだ。
いやな予感ならばなおさら。
「あァいやだいやだ」
呟いた角掛は足元の小石を蹴って、大門の中へと逃げ込むべく道を走り出した。

 
 

AM 03:46 真理ヶ淵

冷えた空気。
周囲の森の影。
赤い水の中に、緩やかに揺れるひかりがぽつりぽつり。
いくつか。

 
 

AM 02:37 七ツ隠しの森

蜂岡千里は足元を見下ろした。
黒衣の裾からにゅっと覗く素足の、爪先に土がついている。
蛍がちかちかと蒼く哂う。
あたまがぼんやりとして、だから足が汚れているのだ。

 
 

AM 02:00 真理ヶ淵

水が赤い。
鹿島陽輔は赤く濁った淵を右目で見下ろした。
いつも通りの色であり、また、本来の色ではない。
ふと何かが気にかかって、けれど首を横に振る。

鹿島の周辺に浮かぶ水球は、ほのかな光を内側に孕みながら揺れている。
水球が遊ぶようにくるりと回るとその拍子に逸れた水滴が滴り落ちて、鹿島の羽織の肩に一点の染みを黒く作った。

 
 
 
 
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