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四方の玄
 
 
 
 

さらさらと崩れ落ちる音を聴いた。それから後のことはよく憶えていない。
気がつくと薄暗闇の中に突っ立っている自分がいる。
崩れ去ったはずの身体は一応まともな姿を保っているし、感覚もちゃんとあった。
指先と、もしも此処に人がいるならば恐らくは相手の顔がようやく見えるぐらいの、ぼんやりとした薄闇。
上を見ても下を見ても灰色に鎖されて、歩いても歩いても何処にも辿りつけない。

 

歩いて歩いて発見したのは、道標のようにぽつりと立っている燈籠だ。
零れる光が周囲を照らす。
見つけた限り、燈籠は四つ。
それぞれが離れた場所にあって互いの光は見えない。

 

目を閉じる。
誰かに呼ばれたような気がする。
耳を澄ませば微かな歌声が聴こえた。
歌声は時折の静寂を置きながらも本当に途切れてしまうことはなく、聴こえる声が不明瞭でも、どこか子守歌の響きに似ていた。

 
 
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