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ピンクの空間を演出するのだ
 
 
 
 

 二月十四日が近い。
 生界ではバレンタインというイベントがあるのだと聴いた。
 不思議なことをするものだ。けれど、なかなか面白い。それじゃあ仮冥界でもやれば良いねと思い立った蜂岡千里はよろず厄散の一角にピンクで染まった空間を作り上げたのだった。
 棚に並べられたチョコレートや縫いぐるみ、とりどりの花。
 くすんだ色合いの薬屋の中で、そこだけ別世界のように派手な色の数々。
 ラッピング用の紙やセロファンの積み上げられた平台の上にハート型の風船が取り付けて、こんなものだろうかと蜂岡は満足の笑みを浮かべた。
 ああ良いことをしたなあと心から思う。
 綺麗な色はとても良いことだ。
 それで誰かがひとりでも嬉しい気分になるのならば、尚宜しい。
 沈んだ気持ちも苛々と尖った何かも蓄積する疲労もひとまず置いておくべきだ。
 で、そこで自分ひとりで納得して、ああ良かったね、とやっぱりひとりで呟くのだった。
 本当によかった。

 
 
 
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Tag: 蜂岡千里